従業員のクリエイティブ力を鍛えるには、オフィス環境も大事な要素の一つです。ここでは、創造性を発揮するためにオフィス環境を整えるべき理由や、環境改善に役立つ工夫について紹介します。
クリエイティブオフィスは
単にお洒落なオフィスでは
ない
クリエイティブなオフィスというと、自由な場所で仕事ができたり、リフレッシュスペースが充実していたりと、お洒落な雰囲気を連想する方も多いのではないでしょうか。実はこういった工夫は単にお洒落さのためだけでなく、クリエイティブなひらめきを最大限発揮するための要素でもあるのです。
2007年、経済産業省は「クリエイティブオフィス」の推進を開始しました。これは単にオフィスの快適な空間づくりを目的とするのではなく、「知識創造行動」を促すことを目的としています。アイデアを出したり、お互いに刺激しあったりできる”場”をつくることにフォーカスした考え方です。
「GAFA」のクリエイティブ
オフィスとは?事例を紹介
クリエイティブオフィスを構築しているアメリカ企業の頭文字をとった「GAFA」。具体的には、以下の4つの企業を指しています。
- Apple
- Amazon
いずれもIT業界をリードする企業として有名ですが、例えばアメリカにあるgoogle本社では以下のようなオフィス環境が用意されています。
- 自由に席を選べるフリーアドレス制を採用
- 自然環境の中にあり、川の流れや野生動物とのつながりを感じられる
- カフェや食堂が無料で利用できる
- ビーチバレーなどスポーツができる場も完備
このように、創造性を重視した企業では、リラックスできる空間やコミュニケーションの場を積極的に設けていることがわかります。
自然環境と創造性の
関係とは?
Google本社も自然の中にオフィスがあるように、クリエイティブ力と自然は密接なつながりがあるといわれています。インターフェイス社が2015年に発行した調査報告書「Human Space Report」によると、日光や植物などの自然環境を取り込んだオフィスでは、そうでないオフィスに比べて創造性が15%高いという結果が出ています(2022年5月調査時点)。
デスクを窓が見えるレイアウトに変更したり、オフィス内に観葉植物を置いたりするだけでも効果が見られるようです。
オフィスに観葉植物を置く効果とは?
3つのメリットを紹介します
12の知識創造行動
12の知識創造行動とは、経営学者の野中郁次郎教授が提唱する組織的知識創造理論「SECIモデル」を元にした、クリエイティブオフィスを具現化するために重要な要素となります。「SECI」は、知識創造プロセスを区分した4つの言葉の頭文字となります。
Socialization(共同化)
共同化のプロセスには、「ふらふらと歩く」「接する」「見る・見られる・感じ合う」といった知識創造行動が含まれます。オフィス内の動線を複雑にして偶発的なコミュニケーションが起きやすい環境を築いたり、オフィス内にリフレッシュスペースを設けたりしていくことで、共同化を図っていけるでしょう。
Externalization(表出化)
表出化に分類される知識創造行動には「軽く話してみる」「ワイガヤ・ブレストする」
「絵にする、たとえる」などが該当します。気軽に使えるミーティングスペースなどがあると議論が図られやすいでしょう。モニターやホワイトボードがあると、なお良しです。
Combination(連結化)
連結化に関する知識創造行動には「調べる・分析する・編集する・蓄積する」
「真剣勝負の討議をする」「診てもらう・聴いてもらう」といった行動が該当します。商品の実物を触れる場所などがもうけるといいでしょう。リモートワークが推進されている現状ではありますが、オフィスでしかできない体験を取り入れると、オフィスそのものの価値も高まります。
Internalization(内面化)
内面化のプロセスには「試す」「実践する」「理解を深める」といった知識創造行動が該当します。集中して作業できるスペースやカタログなどを広げて作業できる広いスペースなどがあると、アイデアをしっかりと形にしていくことにつながります。
知識創造は、この4つの相互作用によって行われていくものとされており、これらがサイクルを構成することによって、新しいものが生まれてくる、という訳です。つまり、知的創造を促進していきたいのであれば、経営者は自らのオフィス空間にこれらの要素がしっかりと構成されているかを見ていく必要があると言えるのです。細かく検証を行っていくことで、それらは次第に見えてくるはずです。
これらが行われる環境が構成されれば、個々人のクリエイティビティがより発揮されるようになり、知的創造行動がさらに促進されることにつながるでしょう。
クリエイティブオフィスのメリット
クリエイティブオフィスの環境を整えることによって、新しいアイデアの創出を促進することが一番に挙げられます。オープンな空間設計をしていくこと、モニターやホワイトボードなどを用いたミーティングスペースなどを整えていくことで、上司・部下の垣根を越えた積極的なコミュニケーションが図られます。人が集まって話し合えば、おのずとそこからアイデアが湧いてくるもの。自分の思考や新たに得られた価値観を深めることは、新しいものを生み出すためにも非常に重要です。
また、クリエイティブオフィスの見逃せないもうひとつのメリットとして、業務の効率化が挙げられます。業務を行うのに適切な環境を整備すれば、不要な無駄が省けますし、コミュニケーションの活発化によって意思疎通が図れれば、意見の食い違いや伝達不足なども防げるでしょう。また、何かあったときにすぐ話し合いができるというのも大事なことです。
その他には、スタッフのモチベーション向上なども期待できる効果として挙げられるでしょう。
クリエイティブオフィスを実現するには
クリエイティブオフィス実現に向けてポイントとなるのは、空間の設計です。より効率的かつコミュニケーションを取りやすい空間のレイアウトを整えることによって、仕事やコミュニケーションの促進が図れます。スタッフの意見も取り入れながら、仕事のしやすい環境を作りましょう。
また、フリーアドレスやリモートワークの導入によって、オフィス外で仕事をするようなケースも増えてきています。従業員同士の情報共有や業務上のやり取りに支障が出ないよう、ICTツールの活用も促進してくことをおすすめします。そしてなにより、スタッフにクリエイティブオフィスの導入を成功させるための働きかけを行うことが大事です。スタッフにクリエイティブオフィスのメリットを理解してもらうことで、スタッフサイドから率先して意見を出し、より良い環境作りに協力してもらえるようになるはずです。クリエイティブオフィスは、従業員の創造性を活性化するようにデザインされたオフィスなので、全員の意見をしっかりと聞き入れながら、全員が満足できるようなオフィス空間作りを進めていくようにしましょう。
バイオフィリックデザイン
もおすすめ
クリエイティブな力を発揮するには、オフィス環境に創造性を養う要素を取り込むことが大切です。創造性をアップさせるなら、自然光や緑を取り入れるのが簡単かつ効果的。
欧米では、従業員の創造性や幸福度を高めるとされる「バイオフィリックデザイン」という考え方が浸透しています。バイオフィリックデザインは、バイオ=生命・自然、フィリア=愛好、趣味という言葉を掛け合わせてつくった造語で、「人間は自然と接することを本能的に求めている」ことを元にしたデザインです。
これからオフィスの移転や模様替えを検討している方は、会社全体の創造性を高め生産性を上げるために、ぜひこのバイオフィリックデザインについてもチェックしてみてください。
オスモ&エーデルは、ドイツの暮らしや住居スタイルを提案する会社です。
住まいに関する製品販売や、新築・リフォームの相談も行っています。
人と環境に優しく、自然との関わりを大切にした、高品質な建材の取り扱いを通じて、快適な住環境を届けています。
オフィスと関わりの深い製品も取り扱っています。