ここでは、バイオフィリックデザインを導入することで得られる効果を、実際の調査を元に紹介します。
バイオフィリックデザインで
得られる効果とは?
人間は自然と触れ合う機会を設けることで、単に満足するだけでなく、さまざまな効果を得られるといわれています。インターフェイス社が2015年に掲載したHuman space report(※)によると、オフィスにバイオフィリックデザインを導入すると、幸福度、生産性、創造性の3つが上がることがわかりました。以下に、それぞれの理由や実例を交え、詳細を紹介します。
幸福度が15%上がる
幸福度を増加させるには
ストレス低減が鍵?
世界各国で行われた調査では、以下の要素がストレス低減や幸福度につながることが明らかになっています。
- 緑や水辺などの自然景観
- 緑、青、茶などの自然なカラー
- 自然光や植物の有無
- 明るく開放的な職場空間
実際に行われた反応測定では、人工的な景色の画像を見せた場合よりも、自然の景色の画像を見せたときのほうが人間の脳の視覚野に多くのドーパミン反応が見られたようです。また、心拍数や血圧の低下、ストレスホルモンであるコルチゾールの低下など、直接的な身体反応があったという結果も出ています。
緑のある部屋とない部屋でどれくらい変わる?
ある実験では、「緑のある部屋ではストレス低減効果が期待できる」とわかりました。緑のある部屋と緑のない部屋を用意し、パソコンのデータ入力作業を行って実験したものです。
パソコンのデータ入力作業は単純ではあるものの、ストレスの溜まりやすい作業です。しかし、緑のある部屋でデータ入力作業を行った場合、作業開始後と比較して「怒り・敵意」が3.4%減少。一方緑のない部屋では、怒り・敵意が0.3%上昇しました。
また、「心の活気」については、緑のある部屋では3.2%上昇。緑のない部屋では0.6%減少するという結果が得られたそうです。
つまり、緑のある部屋ではストレス負荷のある状況でも怒りや敵意が減少し、心の活気が上昇したということです。
生産性が6%上がる
明るいアクセントカラーも影響
上記と同様の調査では、以下の要素が生産性に良い影響を与えていることがわかっています。
- 自然の景観
- 青、緑、黄色などのアクセントカラー
- 職場内の植物、充分な日差し、水辺などの自然要素
生産性が高まる理由としては、業務遂行能力は、業務外のストレスや心理的安寧によっても影響することが挙げられます。自然要素のある空間はストレス低減や集中力の増加を促すため、バイオフィリックデザインが効果的であると考えられています。
創造性が15%上がる
緑を見ることが
創造性アップにつながる!
働く人々の創造性は、周囲の環境にどの程度自然の要素が含まれているかによって左右されることがわかっています。例えば、以下のような要素です。
- 窓から見える自然の景観
- 黄、青、緑などの明るい色
中でも緑が重要で、クリエイティブな作業をする前に緑を目にすることで創造性を高められるとの調査結果が出ているようです。反対に、グレーを用いたオフィスや、窓のないオフィスでは、創造性が低くなることが関連付けられています。
現代のストレスの要因
私たちが日々感じているストレスには、さまざまな種類があります。さらに現代特有のストレス要因も存在しています。
たとえば都市化が進む現代では、東京圏・名古屋圏・関西圏における人口割合が増加中。都市化が進むにつれて自然環境が減りますが、「人工化された環境(都会)に人間は適応できない」という説を唱える学者もいるそうです。
また、スマートフォンやパソコンといったデジタルデバイスは生活に欠かせないものとなっていますが、デジタル化と情報化社会によってストレスを感じてしまうのだとか。たとえば複数のメディアを同時に利用した場合、認知機能を要する作業への集中力が低いそうです。集中力不足によってミスが続けばイライラしてしまいますから、ストレスが溜まってしまいます。
さらに、インターネットを通して知りたい情報を簡単に得られるようになった現代では、人間の脳に大きな負担をかけているそうです。膨大な情報量によってキャパオーバーになった脳は、心身の健康を乱れさせ、無気力やイライラを引き起こします。
バイオフィリックデザインの導入方法
鉢植えを置く
それほどスペースをとらない鉢植えなら、今のレイアウトを変えずにバイオフィリックデザインを取り入れることが可能です。たとえばデスク周りやキャビネットには、多肉植物や花などの小型観葉植物を置いてみてはいかがでしょうか。小型タイプならお手入れも簡単なため、無理なく維持管理を行うことができます。
また、エントランスや打ち合わせスペースなどには大型の観葉植物がおすすめ。高さのあるタイプならインテリアのアクセントになります。
壁や天井に配置する
「観葉植物を取り入れたいけれど、スペースがない」「観葉植物を床に置くと動線の邪魔になる」という場合は、観葉植物を壁や天井に飾ってみましょう。植物を吊るすためのピンやフックなどを活用すれば、動線を邪魔することなくバイオフィリックデザインを取り入れることが可能です。
グリーンが宙に浮くことで開放感も得られますし、席配置などにかかわらず目に留まりやすくまります。
間仕切りと併用する・組み合わせる
空間の仕切り用としてパーテーションパネルなどを導入しているオフィスもあるでしょう。間仕切りにグリーンを組み合わせれば、スペースを新たに設けなくてもバイオフィリックデザインを取り入れられます。とくに木目調のパーテーションとグリーンの相性は抜群。カフェのようにおしゃれで落ち着きのある空間を演出できます。
音でバイオフィリックを取り入れる
「床にも壁にも天井にも、デスク周りにも観葉植物を置くスペースがない…」という場合は、音でバイオフィリックを取り入れてみましょう。視覚は大切な要素ですが、聴覚で自然を感じるのも効果的です。
たとえば川のせせらぎの音や鳥や虫の声、森の音など、自然を感じさせる音をオフィスで流してみましょう。できる限り自然に近い音がおすすめです。トイレ内で聞こえるような人工的な音は避けるのがベター。バイオフィリックデザインと同じような効果を期待するのなら、自然に近い音を用意しましょう。
オフィスに観葉植物を置く効果とは?
3つのメリットを紹介します
幸福度や生産性、創造性を高めるには、窓からの景色や明るい色、とりわけ青や緑が重要な役割を果たすことが、一部の研究で明らかになっています。自然光や観葉植物を採り入れることでオフィス全体の生産性を高めることが期待できるため、小さなことから実施してみるのがおすすめです。
また、床をフローリングに変えるだけでもオフィスの雰囲気を自然に近いものに変えることができます。当サイトでは、無垢フローリングを使ったオフィスへの取材も行っているので、興味のある方はぜひそちらもチェックしてみてください。
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